語られない幾千のアリア『アンフィニシュトの書 悲劇の物語に幸せの結末を』感想
青色姫草です
梅雨ッスネー…………ッスーーー(梅雨の挨拶)
わたしは雨すきだから、最近は気分がいいです。仕事も辞められたらもっといいよ!
読書感想文の回!
『アンフィニシュトの書 悲劇の物語に幸せの結末を』
あらすじ
卒業後は名前を思い出されることのないありふれたぼっち高校生、小樟(ここのぎ)輝馬(てるま)は、本屋に貼られた「”主人公”募集」という怪しいバイトに応募する。
バイト先は洋館、執事を仕えさせたお嬢様が雇用主。小樟はお嬢様に冒頭だけが書かれ、その先は空白の本ーーアンフィニシュトの書ーーを読まされる。
小樟はその本の世界に引きずり込まれ、花畑の少女と出会う。
その物語の主人公になった小樟はハッピーエンドを目指す。花畑の少女がーー死なないハッピーエンドを。
目次
- 一番いいたいこと
- ミステリー部分
- ヒロインについて
- 夕陽のシーン(※ネタバレあり)
- エンディング(※ネタバレあり)
一番いいたいこと
「わたしが書きたかった!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
なんだこの素敵物語は! そうだよ! 本に入って物語のキャラクターになってその中の誰かの助けになる! こういう話が書きたかったんだよ!!!!! 頑張った人の姿を見て悔しいと言えるほど努力してないけれどこの口惜しさを書かずにはいられない! とにもかくにも面白かった!
拙作に『異世界エンドロールに俺の名を』というのがありましてね……。
さわやか路線のはずが な ぜ か 闇落ちしてぐっちゃぐちゃのお話になってしまったんですけど、こういうお話が書きたかったんですよほんと。
すっごい欲を言えば現実の男の子がそのまま物語の主人公になるのではなく、主人公が演者となって違う誰かを演じてほしいんですけど、それこそ自分の作品でやれって話ですね。ちょっと書く気が出てきた。ありがてぇ
わたしの好みドストライクな設定でした
ミステリー部分
結末は割と初めから読めてた
具体的に動機が~までじゃないけれど、指名手配とか人によってハッピーとかバッドは~って話もあったからわかりやすいぐらいかも。
ちゃんとミステリーしてたから他人に勧めやすいと思った。
それに、最後こうなるだろうな~と思ってたのに、その直前のシーンから「あれ、もしかして?」って一瞬、目が離された。だから挿絵で笑っちゃった。魅せ方が上手。
この人が他にもミステリー書いたら次は発売日に買ってもいい。そのぐらい読んでた一瞬は綺麗に騙された。
ヒロインについて
仕方ないしまあ気持ちはわかるしって感じなんだけど(上で名前を出した拙作も同じ構成だし)、お嬢様が表紙飾ってるけどヒロインがアリア
気にする人もいそうだなって思っただけ。個人的には気にしないタイプ。でもアンフィニシュトの書の一前目は口絵に持ってきたほうがよかったのではと思った
夕陽のシーン(※ネタバレ。読んだ人向け)
作中の夕陽のシーンは結構いいシーンなのに完成された本から削られちゃうの残念だと思った。リゼロで例えるなら3章のレムの名シーン削るようなものだし。
そんなにいいシーンを「語られなかった物語」って考えるとこう、なに? 幸福感みたいなのがあるかもしれない。これが独占欲に近い主人公への感情移入の結果だとしたらちょっと嬉しいかも。久しぶりの感情移入かも?
エンディング(※ネタバレ。読んだ人向け)
上の夕陽のシーンにもかかわる話。
最後、アリアが死んだことを無理に納得しようとする小樟をお嬢様が抱きしめるシーンがある。このシーンは夕陽のアリアと小樟の構図に近いと思った。というかそうなってる。
もしわたしが書いてたらこのベッド上のシーンを夕陽のシーンと同じにするために、
・夕陽のシーンを完成版になにがなんでも残す
・お嬢様は本に感化されやすい(お嬢様がそのときのルートを知ってることにする)
の設定を作ってたと思う。その再現をすると、完成版のシナリオ(夕陽の墓前のシーンなし)を壊すことになるだろうから、どっち重要視するんだって話なんだろうけど。
総評
「わたしが書きたかった!」が一番。タイムマシンが出たらいの一番に原稿を奪いにいくw それだと2巻が出なくなるから悩ましいけど! というわけで2巻読みたいです
以上!
何かあれば追記します。たぶんない