リナリアと葉書

青色姫草です。小説家になろう様で小説を投稿したりしています。ブログの主な用途は日記です

純粋にやべえやつ『ラノベ作家になりたくて震える。』感想

青色姫草です

 

ラノベ感想文!

 

ラノベ作家になりたくて震える。』

dengekibunko.jp

 

 

あらすじ

小説を書いて新人賞に応募するも、万年一次落ちの冬野藍介。彼は新人賞の大賞を飾る作品が自分の盗作であったことを知る。盗作をしたのは藍介にとって憎き相手、元天才子役の睡蓮。彼女は盗作をした相手である藍介に二巻を書いてくれとお願いする。

 

ワナビ作家の真の実力が光るーーのか?

 

 

※以下、ネタバレあり※

 

やべえ奴

ヒロインの鮎原睡蓮は元天才子役で、主人公が応募するはずだった新人賞の作品を改稿し、あまつさえ投稿し、賞金を半額受け取ったり編集部や他受賞作家とのコネを作ったりし、挙句の果てに盗作元の作家である主人公に二巻の原稿を書くようお願いするアク(悪?)の強いキャラクターだ。

 

まあやばい

 

久しぶりに鳴き声が「めえめえ」みたいなあざといキャラクターを見た。若干テンション上がったまである。

主人公がそこまで攻め立てないから悪訳路線からは外れているものの、後半で主人公と仲違いする喧嘩のシーンは自分勝手過ぎてドン引く。

自己中を練り合わせて主人公の言葉を聞かない暴力系ヒロインとか昔はいたけれど、一歩間違えてたらそれの新機軸になってたと思うぐらいに性格のタガが外れてたヒロインだった。

 

とまあ悪辣なイベントなど書き連ねてみたけれど、嫌いかと言われれば嫌いではない。……いや、どうだろ。好きかと訊かれたら答えあぐねるのは仕方がないと思う。

 

相手の怒髪天を突く一歩手前をちゃんと理解してそこまでは大丈夫だと過信して自分のわがままを貫き通そうとする、という姿勢を一巻を通して変えなかったところが好き。

終盤で自分の中のいくつもの自分に対して言及していて(これをやばいと評するかどうかは悩みどころ)、だからこそ素の自分は枠組みを外れて動けるからビックリするような行動にもなるのかなと思った。

そんなやつ周りにいないから具体例に絡められないけれど。

 

最近読んだ本のなかでーーバスケする通り魔みたいな純粋なサイコパスを除けばーーぶっちぎりでやばい奴だった。

 

 

小説と小学校の思い出

小学生の時に自作小説を晒されていじめにあった主人公は、書くのをやめずに小説を書き続けた。

それぐらいの想いがあったから、自分の作品が世に出た嬉しさが盗作のすったもんだを超えたんだろうな、と思う。

自分に置き換えたら絶対にこうはならないだろうし、ましてや憎き相手とまで言っているのに(嫌いという言葉は使っていなかったはず。言葉が強すぎるからかも)、わりとちょろかったっすね。

というのが感想ですです。

 

読んでほしかったり小説の投稿を続けたり。他人に小説を読まれていじめられ始めたけれど、それをやめずに誰かに読んでほしくて小説を書くって、言葉だけなら矛盾しそうだけれど、気持ちとしてはよくわかる。そこを納得できる人がどれくらいいるかは微妙なところ。わたしは納得できた。

 

盗作関連は本編と密接だけれど、そもそも全体的な印象が睡蓮に持っていかれ過ぎてて話の筋が薄く感じる。

 

 

思い込み

話の展開をどう作るか、みたいなところでこの作家さんは「思い込み」を使うのが好きなんだと思う。

全体的にキャラクターの全員が説明ベタ! 小説家が3人もそろってるのに、一番まともな説明をしてたのが金髪のヤンキーってどういうことなの

話が全部すれ違いとか思い込みとか、全員自己完結で閉じてて、物事を小さく考えているか大事に考えているかで話を進ませてた印象。

主人公の視点ってフィルターを通しているから、そういう風に見えいるだけって可能性もありけり。

 

 

総評

とにかく睡蓮の自己中プレイから生まれた物語だった。極論、睡蓮さえいれば成り立ちそうな物語な気がする。

話のオチが「2巻が完成するかどうか」だったけれど、「盗作した睡蓮とどう折り合いをつけるか」を引っ張ったほうが良かったのではと思う。

メインテーマがどこなのか1回読んだだけじゃわからなかったから、少し他の人の感想とか漁るかも

 

以上!たぶん追記はなし!