【感想】優しい世界だと思った『恋愛する気がないので、隣の席の女友達と付き合うことにした』
『(恋愛する気がないので、隣の席の女友達と付き合うことにした』の感想です。
※ネタバレあり
~あらすじ~
姉に付き添って瀬戸内海にある離島の高校に入学した和泉凛太朗(15)。田舎育ちのクラスメイトたちは朝から晩まで恋愛の話ばかり。俺の隣の席に座っているのはジャングルジムの頂上で逆立ちをする頭のおかしな女だが、顔が美女だから一週間で四回も告白されるぐらいだ。俺はオタク趣味に時間も金を費やすから恋愛なんかしていられるか!ーーそれでも、人生には落とし穴というものが存在する。
~総括感想~
最初からくすりと笑わされて、終始穏やかな気持ちで読みすすめることができた。
シリアスやカタルシスが激しい作品ではない。
作者の文章力を詰め込んだ読み易さで書かれたラブコメは、余計なことを考えずに素直に楽しませてくれた。
”ありな”がここ最近読んだ本のなかでは一番動かしやすい(動かし方をしていた)キャラクターだった。
2巻が出たら間違いなく買う。
~売りポイント!~
・ヒロインが可愛い
・物語のテンポがいい
~ヒロインが可愛い~
ヒロインが可愛い。
隣の席の女友達 友近姫乃(ともちか ひめの)
喫茶のメイド娘 氷室有希(ひむろ ゆき)
マセガキ小悪魔 天ヶ瀬ありな(あまがせ ありな)
姉姉姉姉姉姉姉 和泉百夏(いずみ ももか)
中でも表紙をかざるメインヒロインの友近姫乃と中学二年生にして男をたぶらかす手腕に長けたありなはいい。
天然ボケな友近姫乃は読み始めは奇行少女だとおもった。
が、よくよく読むと実はちゃんと「あ、こいつ考えて喋ってるな」みたいな台詞の言い回しがあったり、クラスメイトとの会話には「うん」や「うーん」で対応しているのですが、主人公と会話するときは結構はっきり喋っていたりするんですよ。結構エモくないですか?
それとメスガキありな。マジでここ最近読んだ中で一番場を綺麗に荒らすキャラクターでした。詳細を話すとネタバレになっちゃうのですが、結構な犯ざ……コトをやっているんですけど、読者に怒りを抱かせない! しかも場面をちゃんと動かして会話も回してお色気も担当するという……末恐ろしい子。
作者の力量の高さが伺えて、読んでいる最中そのテクニックに惚れ惚れしていたぐらいです。そのぐらいありなはメスガキ!
~物語のテンポがいい~
・視点主である主人公(凛太朗)が悩まずに行動を決める
・掛け合いで難解な言い回しがなく、口語に近いから読みやすい
・作者が余計な描写を省いている
特に、この「余計な描写を省く」点について。(若干のネタバレあり)
例えば放課後、学校を出てから喫茶店に行くまで歩く道すがらの会話~とかあるじゃないですか。そういうのカットです!
ラブコメだから、ヒロインと一緒の時間で普通は削らないじゃないですか。それが肝みたいなものですし。1巻だからサブヒロインとのデートシーン全カットです!
ラノベとしては割と豪胆なことやってるんですけど、その分本筋が頭に残り続けるから、どこかで物語がわからなくなることがありません。
わたしは「描写必要かな? いちおう書いとくか」みたいな感じで本筋とは関係のない話をだらだらとキャラクターにさせてしまうことが多いので、ばっさり切った作者の血眼の努力(いや血眼になってるかは知らんが)に拍手喝采です
~※ネタバレありの雑記~
・優しい世界(一番書きたかったこと!!!)
~優しい世界~
ネタバレがないと語れない、この作品の一番の特色で好きなところ。
この作品、誰かを「怒ったり」、誰かの「邪魔をする」ことがほぼありません。
例えば、文化祭を発案した姉に指名されて凛太朗が企画をその場で教師に口頭で伝えます。
ラノベで現実の話題出すなと言われたら申し訳ないのですが、普通なら教師からNOが出るはずで、譲歩しても一旦会議にかけるぐらいなもんですよ。
けど本作では凛太朗に対して教師人はすぐさまOKサインを出します。これは学生である凛太朗に対して「やりたいようにやっていいよ」と全面的な肯定を示していることになります
次に、友近です。彼女は集団行動が苦手だと後に明らかになります。彼女の言い分としては
「友近のやりたいことと、みんなのやりたいことは、別に同じである必要はないと思う」
というものです。友近は自分のやりたいことをやりたいと、まあ協調性のないことをいいます(特大ブーメラン)(文化祭の準備をサボった経験あり)。そういう言い分で、友近は文化祭の準備から人知れず抜け出して公園でブランコを漕いでいます。
そんな彼女に対してクラスメイトは誰も怒らないのです。
しかも、このあと友近は文化祭準備への参加として各教室の黒板に”ひとりで”絵を描いていきます。
これに対しても誰も阻害することはなく、友近なりの参加を暗に認めます。
作中のどのシーンが好きかと言われればこのシーンが一番好きです。二番目は家の床が抜けて穴のなかにはまったシーン。
蛇足ですが、他キャラクターも同様のエピソードがあります。
ケーキを不味いと言われた氷室はケーキ上達のために練習と研究をします。これに対して誰も「そんな無駄なことはするな」なんて言葉はいいません。
氷室が美味しいケーキを作ると、今度はありなが美味の欲求をもとめて衆人環視の前でひとりケーキを食べます。それを誰も止めません。
2回だけ、邪魔が入る事柄があります。
1.幼少期の友近
2.姉へのアプローチをかける男をさえぎる弟
2はギャグ要素なので、実質1だけが「邪魔」の存在するシーンです。
そしてそのシーンがラストにつながるんすねえ!!!
あとがき
以上、『恋愛する気がないので、隣の席の女友達と付き合うことにした』でした。
本当はありなについてもっと書きたいんですけど、紙幅が足らないからなーしょうがないなー。ありなの動かし方は本当に上手だと思った。
雑記なんですけど、あとがきの内容がわからなかった。
たぶん小説にちゃんと文字が書き込まれてるとかだと思うんだけど、bookwalkerで買ったからかタブレットでもPCでも字まではよめなかった。解読できた人いたら教えてください。
もしかしたら追記少しだけあるかも!
とにかく2巻をば!