『賭博師は祈らない』感想
『賭博師は祈らない』感想
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『賭博師は祈らない』の1巻を読みました
現実感溢れる物語と愛嬌あるキャラクターに惚れ惚れしたから感想書きです
(※ネタバレがある章はネタバレありと書いています)
ー賭博師
ピンチになったら主人公が賭けに出るのは珍しくはありませんが、主人公がギャンブラーという小説は珍しいんじゃないでしょうか。少なくとも、わたしの書棚にはそんな本はありません(こいついつもラストバトルでギャンブルしてんな、みたいなキャラはいますけど)
賭博師ってなんだよと思う方は、是非ともこの小説をご賞味くださいませ
ー現実味
舞台は18世紀ロンドン。みんな大好き、18世紀ロンドン!
登場人物は英国紳士……ではなく、賭博を生業とする賭博師たちです
意外な発想でした。
産業革命前後の仄暗い雰囲気、いいですよね。それが賭博という側面にまとまっていて、味のある空気感がありましてですね(語彙力を求めて中身が空っぽになったコメントの一例)
例えばロンドンの庶民の生活、例えばその時代には喫茶店やバーにも賭博場があるとか、ダークな雰囲気と対比する平和なビックベンの風景。メイド服の成り立ちや史実の女王の名前など、歴史的情報がささやかにかつ効果的に登場させることで18世紀ロンドンの世界観が描かれています
特に動物園。これがもうとびっきりにいい雰囲気だった!
ーヒーロー(※ネタバレあり)
賭博という一般的には善性とは言えない世界の中で、ラザルスはヒーローとなります
読者は読んでいてラザルスのことをさらっとヒーローだと認めてしまうんですけど、振り返るとすごい塩梅の上に成り立っているんですよ!
しかも、ダークヒーローじゃなくてヒーローなのがすごい
ダークヒーローと言えば『バッドマン』が有名です。ゴッサムシティという腐敗した街で、悪を成敗する人間がいないから私罪をおこなうダークヒーローのバッドマン。この構造は「悪側面が表となっている世界観」で発生した「問題」に対して「真っ当ではない方法」で「ヒーローになる」、というものです
『バッドマン』なら、「人々が不平不満を訴える」も「公権力はなにもできない」から「暴力による私罪で解決」して「人々にのみ認められる」。
公権力を期待できないから暴力で解決を図る(真っ当な解決方法ではない)ところが肝です
『賭博師は祈らない』であれば、「賭博が一般的な18世紀ロンドン」で「理不尽に奪われた奴隷」を「賭博」によって「取り返す」
賭博という方法を正攻法に仕立てあげてそのルールに則ってことを成す。
ダークな世界観でありながら、ダークヒーローではなくヒーローとしての活躍をする! これの成立が本当にうまくって、読んでる読者はぜったい応援する側に回ってる
ー総評
読んでて18世紀ロンドンの仄暗い雰囲気を賭博を通じて味わえた。料理だったらきっと甘美な味がすることでしょう!!
ごめんなさい。感想を書く間が開いてしまったので思い出せるかぎりで。
今回はこれで!
何か追記するかも