リナリアと葉書

青色姫草です。小説家になろう様で小説を投稿したりしています。ブログの主な用途は日記です

『アイの歌声を聴かせて』感想

青色姫草です。

 

吉浦監督作品の『アイの歌声を聴かせて』を年始一番に観ました。

 

雑多な感想を書き連ねる日記です。

 

観た人向けです(※ネタバレあります※)

ainouta.jp

 

 

満足したか?

吉浦監督が好きなので数年前に吉浦監督がこの作品やりますってtwitterでつぶやいたときに「あれ?JCスタッフでやるの?スタジオ六花じゃないんだ?」みたいなことを思ったぐらいの愛です。ゲーム会社の仕事がほんとうにホント~~~に忙しすぎて劇場に足を運べずじまいだったのですが、いろいろあって去年末(2022/12)で退職したので、年を越して一番に観ました。(アマプラくん550円って値上げした?)

 

結論は「吉浦監督作品としてはもっとリアリティを求めてたけれど映画としては大満足!」です。

 

ほしかった部分

・世界観

吉浦監督に私が個人的(とっても大事)に求めていた部分はもちろんSF系でした。

そのSF系を表現する方法として、『イヴの時間』における「ドリ系」や『サカサマのパテマ』の男主人公が感じていた疎外感のような、外界の一般性を提示した上で主要キャラクターがそうではないドロップアウト感を描写するのが好きでした。

今回で言えば現実のレイヤーにすっごいよく馴染んでいる近未来家電などの表現がそれにあたります。その表現が少ないことに対してちょっとばかしの不満はありますが、それでも映画自体が面白かったことは間違いないです!

 

ただ、そういうSF要素を意図して背景のレイヤーに沈めた結果、例外過ぎる詩音の特異性を伝えきれなかったのではと感じました。

AIとして自己進化していたり、他の電子機器を権限を則って操作できるSF要素をSF要素として驚いていたのがトウマで、他主要キャラ(視聴者視点のサトミも含める)は怪奇現象のような驚き方をしていたこともあり、あまり強く印象には残りませんでした。

 

全くコンセプトが異なると言われたらそれまでですし、そもそも別の映画だからそれを期待するほうが間違っているのでこんなものはほんと言った直後に殴られろみたいな発言であることは重々承知しているんですけど、『アイの歌声を聴かせて』には『イブの時間』ほど近未来へのワクワク感を感じられなかったことが物足りない点です。

 

良かった点

・流れがわかりやすい。

AIの詩音がサトミ(漢字を確認したら"悟美"でした。どういう名付けだろう?)を振り回したと思ったら他の人も振り回す。

愛着持たれた詩音がヒロインになって連れ去られて、王子役にまわった皆が助けに行く王道展開。

後半の星見タワーになだれ込むところも勢いで誤魔化してたのうまい。

 

・伏線がわかりやすい

たまごっちとかゴミ箱とか禁煙とか、目につく所作やエピソードが後から振り返りやすい短さに詰まっている。

伏線が必要になったときに「あの!」とか「あれが使えるんじゃ!」みたいなのちゃんと観ている人が想起できるの腕が良すぎる。

関係ないけれどたまごっちの話、トウマが天才児じゃ済まないレベルだけれどまあそこらへんはみたいな(サマーウォーズでいうと侘助おじさんより頭がいい)。

伏線系は大河内さんぽさある(大河内さんぽさで言うなら副社長をわかりやすい悪者にしたところが一番そうだけど)。

 

・未来感の出し方

近未来ってレイヤーを現実に馴染ませるのめちゃくちゃ上手くないですか???

映画の最初で古いキッチンに細心家電より数世代先の家電を乗っけることで、その歪さが際立って世界観を表現するってやり方。天才

学校で近未来感を出していたアイテムは黒板と三太夫(ロボット)ぐらい?で、視覚情報はほぼ現実の風景だったから、観ている人が「知らないもの」を観て感じるストレスとかはなかったのかなと思った(ここらへんSFチックさを欲している人からすると物足りなさはあるだろうけれど)

 

・映像美

ソーラーパネル反射して月になるのいい。未来的な部分は背景の風力発電?ぽいやつに任せてるのもあって、極力SF要素消えてるのは気になるけれどそれはそうとシチュエーションが綺麗だった。

 

気になった点

・ジャンル

オタク向けじゃない要素を追加した結果、恋愛が付随したんじゃないかと邪推した上での雑言です。

SF要素を一切切り離した状態でラブコメ部分だけを観たときに全くロマンス風に感じなかった。言ってることは恋愛ドラマの台詞だけれど、恋愛部分の障害が本人たちの気持ち次第オンリーだからだいぶ……うす……

 

・テレビ尺?

3,4日しか会話していない詩音のために企業に乗り込むのは冷静に考えると無茶じゃない?それぞれ救われた描写あったとはいえ。

短編8話で6話分くらい日常描写に費やす脚本な気がする。ターゲット層を一般層(の子供?一般層のどこに差したかったのかよくわからんかった)に切り替えた結果、有名タレント使うなら映画のほうがいい?になったのか、単純に映画のほうがいいになったかはわからないけれど。

うまくまとまってるし企業に乗り込むのも勢いで突っ切ったけど(あそこメチャクチャ上手。詩音が主人公のサトミにとって大事な存在にしてから場面転換で忍び込むフェーズに移ってる。先に作戦会議してたら観ている人の気持ちがついていかないんだと思う)

 

・花火

あの花火is何。

あのシーン中は後ろの風車の電灯?を破裂させて花火っぽく演出しているのかと思ったけれど普通に花火も上がってた。勢いで誤魔化しすぎじゃない???

 

・主任さんの扱い

微妙だった。取り扱いが微妙だった。副社長が裏から主任さんに何かを命じているのかな?と思ったけどそうでもないっていう。匂わせしかしてないがあの副社長。というか大企業の副社長が小物過ぎる。

 

・詩音の監視

詩音を違法ギリギリのやり方でテストしてるくせに監視がザル過ぎる。人間を監視してるのと同じ方法で送り迎えするだけって。学校に忍ばせてるから録画したら子供のプライバシー侵害だから外国(現実。主にカリフォルニア州とか)の条例とか気にしてたのかな?

 

AIのプログラムだけがネットに流れて生きてるとかは突っ込むほうが野暮だと思っているので。基準が自分でもわかんない。

 

終わりに

以上、雑多な感想でした。

じっさい面白かったし観ていて情報量が多くてパンクすることもなかったので見やすい映画でした。たぶんもう1回ぐらい観ます。

 

追記あれば書きます。