アニメ化したら1話目で1時間放送しそう『エイルン・ラストコード ~架空世界より戦場へ~』1巻感想
『エイルン・ラストコード ~架空世界より戦場へ~』の1巻を読んだので好きなところを説明するだけのブログです
興味を持っていただけたら是非お手にとってくださいまし。
~あらすじ~
人類はマリスと呼ばれる巨大生命体と存亡を賭けて戦争をしている。戦術や兵器の類が通用しなくなったマリスに対抗できるのは出自不明のロボットーー通称【ネイバー】ーーだけだった。とある襲撃時、人工島【第弐富士】におけるネイバーに搭乗可能な唯一の少女が脱出を試みるが……。
時を同じくして、宇宙から飛来する所属不明の機体が現れる。人類のデータベースにないその機体に驚愕する【ヘキサ】たちに、更なる驚きがもたらされる。戦争中に他国へ侵入する常識知らずの搭乗者は自分をエイルンハザードと名乗ったのだ。その名は、この世界で放映されている”アニメキャラクター”の名前だった。
ねっとりじっくりプロローグ
『エイルンラストコード』の好きなところを最初に話すと、気持ちや感情を”先に”出すところがいい。先に心情を吐露してから行動の描写に入るから、読者としても気持ちが入りやすい。
まあ、作品の雰囲気が絶望的に暗いからドロっとした粘り気のある暗さも心に抱えて読むことになるけどね! MF文庫としては珍しくシリアス部分が強いと思ったけど、よくよく考えなくてもリゼロとか異世界拷問姫とか出版してるレーベルでしたね
ところで、なろう小説の異世界モノにはテンプレートとも揶揄されるぐらい「トラックに引かれて女神に会ってチート武器もらって異世界転生する」という作品が多いです(かくいう私も似たようなの一作書いてます)
同じようなパターンで始まる作品が好まれる理由として「導入部分の共通化」が挙げられます。
これのメリットとデメリットの話をすると、
メリット:学習コストの少なさ
魔法の属性を説明されて「火・水・木・雷」ぐらいならわかりやすく「槌・炎・雲・霧」と言われると気構えをする人が多い。「ドラゴンがいる世界なんだー。エルフがいる世界なんだー。違うのはエルフも街で暮らしているところかー」とわかるところが多いほど、読者は親しみを持ちやすいとかなんとか。
デメリット:飽きがくる
似たような始まり方ばかり見ていれば、次に読んだ小説の1ページ目から「またか」と思い手を止めることもある。実際、なろう小説のランキング似たようなの多くない?みたいな話が身内だと結構あったりするんですよね。それでも読むらしいんでなんのこっちゃいという感じですが。
とかく、説明や専門用語を省略してわかりやすいプロローグないし序章という入りやすい入口を組み上げるのがトレンド的になっています。
こんな話をしたからわかるでしょう?
こちら『エイルンラストコード』。読者を掴む序章の終わりまで紙面の半分を費やします。
じっくり、じ~~~~~っくり! と人類の敵・マリスに追い詰められて絶望の淵に立つヘキサと呼ばれる生贄扱いの一部の人類。有人戦闘機から戦車、それからネイバーと呼ばれる出自不明のロボットを駆使してマリスを倒して生きるヘキサたちの絶望感が描かれます。
少年少女(あと老婆)が視点主となり、葛藤、疑問、疑念、驚き、喜び。そのときの心情や考えがいつも直接的な文章。だからこそ、ドロドロとした気持ちが胸にこびりついて、読者を淡泊でいさせることを許さない(by絡められた経験者)
序章がしっかりしている構成の理由としては、サンライズ製作のアニメみたいに4クールぐらいの脚本のつもりで書いていそう。ガンダムの導入って1クールアニメに比べればやっぱりずっしり構えて作られていて、そういうロボットアニメの感覚を受けて執筆されたのかなと。
それがいい方向にでてる!!!!
くどくなく、それでいてサッパリもし過ぎていない。
しっかり重たい世界観を読者に引きずり込むための土台があって、安心して読んでいられました。
それに展開も王道的で、もうね、前半だけで「うわー」とか痛ましいなあとか思うこと数多で、でも章半分で「おお!」と思わせるみたいな!(なんら具体的なことを書いていなくて申し訳ない。ネタバレを避けたい気持ちと読後の熱い気持ちが一体となってこうなっております)
ロボットが出てくるからSF的で、あんまし理解できないだろうなーとか思う人も問題ありません
一文一文を短く記述することによって、SF的ロボットの動作や戦場の描写が頭に描きやすい造りになっています!
短文が多いのに雰囲気出しながら描写できるの見習いたい。
というわけで。1巻の感想でした。
とりあえず2巻も読んでみます。
追記はないかも!
P.S. 追記1
【ヘキサ】斬新じゃ~んみたいなこと書いたんですけど、86がありましたね。あっちのほうが設定的にはグロかった
なんだかんだ、設定的にはそこまで重くないのかも? けど、そう思わせる、感じさせる書き方をしているというところが凄い。