『スロウスタート』に絶望したかった
青色姫草です
先日友人とアニメについて会話していたさいに、思いがけない箇所で意見の食い違いがありました。
そのときに物語に求めるものが違うことに気づきました。今日の雑記はそのことについてのメモ。
メモだからね! 答えとか期待しないでね!
目次
1.『スロウスタート』に求めた絶望色
(以下、アニメ『スロウスタート』三話くらいまでのネタバレあり)
1.『スロウスタート』にナニを求めていたのか?
改めまして、青色姫草です。
二月ですね。バレンタインとか鼻息で吹き飛ばすイベントはさておき、初旬のころに友人と今期のアニメについて話していました。
……ええ、この時期の大学四年生は暇なんです。一日中アニメとゲームについて話していたってまだ暇なくらいに。
「俺、今期のアニメの半分くらいみてるわ」
ぐらいアホなこと言ってる感じです。確かめたら1/4しか見ていませんでした。
兎角、今期のアニメの話をしていたら『スロウスタート』にも話が及びました。
まず、友Aの感想は、
「fateで昂った心をスロウスタートで鎮めてポプピテでアルコールブーストをかける」
でした。
私こと青色はそのとき、「え、スロウスタート見てるの?」と返しました。
ここでスタンスを発表しておきます。
・スロウスタート面白い派
友AB
・スロウスタート面白くない派
青色
(面白い面白くないだと語弊があるのですが、話を進めるために今はこれで)
このようにわかれました。
元から、感性の方向性に激しい隔たりのある友人なので、意見が分かれること自体は珍しくありません。
寧ろ、同じ意見になることのほうが珍しい。というか一度もないんじゃない……あれ?
『スロウスタート』(二話まで)における私の感想を、あらすじついでにここで挟みます。
四月、主人公の一ノ瀬花名(はな)は、新品の制服の袖に手を通します。
同居人のいとこに尋ねた花名の心配事は「高校一年生に見えるかな?」でした。
花名のビジュアルは中学生っぽいです。ちんまりという表現がよく似合う彼女の心配事は、視聴者からも心配事たりえます。
どこか応援したくなる訥々としたあわてんぼうの喋り方をする花名。
そんな少女がいざ女子高。
……あれ? 花名より幼く見える子が登場……。キャラデザでミスった?いや、それはないな。
まあ、きらら枠だから小さい子がたくさんいるのは当然だな。
とまあ、そんな風に自分を納得させながらニ十分ほど観ました。
正直な話をすると、日常パートは結構退屈でした。
なんといいますか、どうしてこの会話が繋がってるんだろう? みたいな不思議さがあるんです。キャラの属性も言ってしまえばベッタベタな感じなので、会話のノリも少し寒く感じるほどです。
主要キャラクターとの会話や花名の誕生日というイベントを終えて、一話も終わりにさしかかり、
「これが今期のきらら枠か。あ、そういえばゆるきゃんもきらら枠だっけ? まあ、あっちは今度みよう。これはこういう日常モノかあ」と気もそぞろになっていたタイミングで、クラスメイトに駆け寄った花名が言いました。
「一ノ瀬花名 十七歳」
……………………???????(思考停止)
「中学浪人で一年遅れのスロウスタートだけど、わたしの高校生活が始まりました」
……………………ジュウナナサイ コウコウイチネン チュウガクロウニン…………スロウスタートのタイトル回収???!!!ここで!!!???
ラスト一分で度肝を抜く台詞でした。
スロウスタートの意味と、一話冒頭の「高校一年生に見えるかな?」が別の意味に変わった瞬間たるや。
その台詞だけで、文字通り盤面をひっくり返したのです。
花名の会話シーンのぎこちなさが、どこから来ているのかを悟った瞬間、いままで見てきた不思議さのバランスが命がけの綱渡りだったことに気づいて、つまらないと思っていたニ十分をもう一度見たいと思わせるまでに変えました。
ドロップアウト系だ…!
一般的なレールを走っていれば十五歳で女子高生になっていたのに、一年ずらした入学。年頃の女の子にとって一歳は大きく、同級生は先輩になって、後輩だったはずの子たちと同じ時を過ごす。
高校浪人や夜間学校などの手段を取らず、周りとは違う娘が普通の高校に入学する。
個人的にたまらない設定です。
入間さんや鴨志田さんの作品はそういうのが多いですね。『電波女~』とか。
『さくら荘~』はこの極致でした。頭おかしい系ヒロインと現実をつなげる楔として「介護が必用」と作中で名言した潔さは見習いたいです。弟子になりたい。内弟子ストーリー!(宣伝)
とかく、『スロウスタート』一話の構成や設定など、素晴らしかったというお話……でしたら話は簡単なのですが、、、
二話になって(三話だったかも?)明かされる事実があります。
花名が中学浪人をした理由です。
今更ネタバレを気にしても仕方がないので説明をしますと、花名は中学三年生の受験時に、おたふくかぜで出席停止を受けました。
(インフルエンザみたいに、強力な感染系の病気の人は、治るまで外出許可がおりないアレです)
うー、うーとどれだけ泣いても受験は受けられず、一年間はニートになっていとこのアパートに身を寄せることになりました。
――ここが本題です。
私は友人らと話している時に、
「おたふくかぜって設定にガッカリした」
と言いました。
詳細を話すと、先ほども話したように私はドロップアウト系が大好きです。日常の中に紛れ込んだ異常みたいなのが好物です。
だからこそ、一話で高騰した期待値の元凶がおたふくかぜだと知って、肩透かしを受けました。
もっと、なんか、こうさ……犯罪事件に巻き込まれたとか、大病を患っていてとか、ネトゲ廃人だっとか。
もっと秘密にしておきたい事柄だったりすると思っていたんですよ。クラスメイトにバレだらクラス内でどれだけ歪なことが起きるかワクワクしてたんですよ。
二話の冒頭で明かすって! しかもおたふくかぜって!
普通じゃないですか(普通ではないけれど)。
期待していたボールを待っていたのに投げてくれなかったことを嘆いていると、友人が言いました。
「いや、中学浪人の時点で人生のどん底あじわっているのに、これ以上に不幸な目に遭わせるのは可哀そうだろ」
一理ある。
一理どころか百理ぐらいある。
最初に絶望を味わった過去があると説明して、それからのスロウスタートを切った先は幸せばかりでもいいじゃないか。
それって物語諭としてどうなんだよ、と納得がいかなかったのでだらだらと口論をつづけましたが、書いてもしょうがないのでバッサリ断裁分離。
ここでスタンスを書き直します
友人ら→fateとポプピテの中間ということもあって、なごみや癒し枠
青色→絶望の最果てを知りたい
友人たちにとってはきらら枠としての要件を果たしているスロウスタートは面白く感じられるものでした。
対して、この先の不幸を望んでいた青色からすると物足りなく、つまらないと感じた。
求める楽しさが「物語としての起伏」なのか「一話毎の満足感」なのか、という話にも通じる…のかもしれません。
どうして私は絶望を求めたのか、どうして幸せを追い求めるだけじゃいられなかったのか……堕天使……(言いたかっただけ)
はい。お察しの通りネタ切れです。もう少し深く考証してからブログ書けよって話ですよね。ごめんなさい、ここで筆が止まりました(本当にごめんなさい)
タイトル回収しないと怒られちゃうのですが、ここまで根気強く読んでくださった方は、きっとご理解して下さるでしょう。そうであることを願います。
だから補足だけ一文。『スロウスタート』を見たらあなたの物語に求めるものがわかるかもね!カフカの老人と海みたいだね!Dアニメストアで絶賛配信中だよ!(カフカじゃなくてスロウスタートが)
そんな感じでいいですか、はい。もうスロウスタートの話をすることもないと思うので蛇足をもう一文。最初、先生の声を聞いたとき沼倉さんじゃなくて生天目さんかと思った。以上です。
答えがみつかったら追記します。
青色姫草でした
PS.
バッサリ断裁分離 って、ちょっと韻踏んでますね。これから多用したい。