リナリアと葉書

青色姫草です。小説家になろう様で小説を投稿したりしています。ブログの主な用途は日記です

いずれ羽化する14歳の中学生~『育ちざかりの教え子がやけにエモい』~感想

 

わたしのなかのエモの定義を増やしてくれた。

鈴木大輔『育ちざかりの教え子がやけにエモい』(ガガガ文庫/小学館・以下、本書)。このライトノベルがすごい!2021年版TOP100に名前を連ねることはなかったが、作者がどんな表現をするのか気になっていた作品。

わたしにとってのエモは『風夏』の「行くぜ浜中湖!」を読んだときの一瞬の魅力の爆発に対して使うものだと決めつけていた。花火の花開く瞬間こそ心が沸き立ち感情が揺さぶられる。だからこそ、本書の初読の感想は「エモくない」だった。だが、あとがきでガガガ文庫編集の岩浅氏について語られているのを見て、わたしの読み方が間違っていたのではと感じるようになった。あの岩浅氏が定義不詳の大海”エモ”に手を突っ込んで世に届けようとしたのであれば、この本には気づいていないだけで大きな熱量が潜んでいるのではないか。そう思いもう一度読み直した。

再読ではわたしの考えるエモを探すのではなく、何をエモと定義していたかを大海から探す気持ちで読み直した。

本書は14歳の中学生、椿屋ひなたのその内面を多方向から描こうとしている。性に興味を持ち、出来ないことに挑戦をして、同級生と喧嘩する。大人は誰もが抱えた思春期の悩みを忘れてしまうけれど、その悩みと対峙して戸惑い疑問を持つ姿を丸々と描こうとしている。

本書の特徴は二つある。

ひとつは読者の写し身が24歳の男性教師かつ小さい頃から見知った隣人という特殊な立場にあること。教師よりも近くて親よりは遠い隣人、その絶妙な立ち位置だからこそ引き出せる言葉や言動は、この本の肝でもある。特に性知識についての探究心はラノベらしくもあり、同時に友人と語りあった覚えもあって読んでいるこちらのほうが恥ずかしくなった。

もうひとつは、同級生や先輩、年下など読者の写し身として異なる視点があること。異なる距離感から椿屋ひなたを見通すことで、彼女が何にもがいているのか蜘蛛の巣の一本まで繊細に見通せるほど解像度が高くなる。その解像度の高さが読者の思い出をくすぐってくる。

『育ちざかりの教え子がやけにエモい』におけるエモとは、この14歳の少女が移り変わる変遷を指しているのではないだろうか。大人になって振り返れば笑い話でも当時は長く感じた。大人の視点から見れば一瞬で変わる時間にいるのだから、その爆発力はエモと感じるはずだ。

このエモに一番近いのはおそらくアニメ版『響け! ユーフォニアム』の高坂麗奈だと考えている。あの少女が持っていた大人への憧れや背伸びと、手放していない子供心、それから周りとの衝突。美貌と実力で本書とは異なるが、"周りの目を惹くほどの"という点も類似してる。本書が表現したかったのはそんな思春期真っ只中の14歳の中学生の長い一瞬だ。一巻目は消化不良的な終わり方をするが、その後の期待を煽るものだとご了承いただきたい

 

gagagabunko.jp

 

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育ちざかりの教え子がやけにエモい(https://gagagabunko.jp/lineup/202004.html#04 より拝借)

 

 

(以下、ネタバレ)

 

P.S.

『打ちのめされるようなすごい本』を読んだからそれっぽい書評をしたいと思って書評を書き始めたものの、結局は読書感想文になったやつ。

それと2巻目まだ読んでないから期待の結果がついてくるかは不明。

 

まとめきれなかった箇所について

・先生

教師仲間で大学の先輩で読者の写し身の元カノがいるんですけど、この人はきっと「年を取れば大人になるけれど思い描いていた大人の姿ではない」という一般的な典型パターンを描いたものだと思う。周りは結婚してるけど自分は~っていうシーンで、「大人として描かれる存在はいてもみんな自分を子供のように思っている」のかなって。いつかは知らないままに成長をしているけれど、憧れた大人には程遠いみたいな。

でもそれこの小説に盛り込む意味ある?って思った。年が近いから共感はしたけれど、本作に含む意味はちょっとよくわからなかった。

 

あと、好きなシーンはたまたま見ていたという理由だけで走り高跳びに挑戦をして失敗をする椿屋ひなたです。その場に立ち会った気にさせるほど感情描写が丁寧で、わたし自身も夕暮れのグラウンドに立って失敗をする姿を目に映していたと思わせる書き方でした(でも、居残り練習して夕暮れグラウンドの走り高跳びってFate

 

クリスタこそ国産の神エディターだった

 

クリスタを買った背景

時間ができてからアナログで絵を描いていたのですが、水彩の絵の具が切れた機にペンタブを買いました

ペンタブというハードを揃えたとして、じゃあソフト面はどうしようかと。windows備え付きソフトの「ペイント」を使う選択肢はそうそうに消えていたので、高機能なお絵描きソフトも一緒に買うことにしました。

 

お絵描きソフトで有名なのは「SAI」や「CLIP STUDIO」、「Photo Shop」などがあるらしく、友人のイラストレーターに勧められるままに「CLIP STUDIO(以下、クリスタ)」を購入(でも友人は「SAI」を使っているそうです。なんでだ)

 

公式サイトで買ったキズナアイちゃんのクリアファイル付きのクリスタが2日ほどで届き、このとき初めてクリスタが国産ソフトであることに気づきました。

 

クリスタ。別名、配慮の鬼

画像1

画像はクリスタを起動した最初の画面です(厳密に言うと、クリスタと呼称されているのはCLIP STUDIO PAINTであり、この画面はそのhubのようなものです。この記事内ではこれをクリスタと呼称します。紛らわしくてごめんなさい)

 

私は小説を書くためにwordを使用したり、プログラミングのためにVScodeを使うこともあります。が、最初からここまでユーザーに寄り添ったつくりにはなっていません。

以下はざっと見た感じで優れてると思った箇条書きです(画像だと左側の欄を上から)

 

・自作の管理画面がある(しかもcodeとresourceの部分が最初から別になっている)

チュートリアルと質問サイトがクリスタから一発で飛べる(wordの辞書機能が一番近いかな?codeだったらteratailとかQiitaがVScodeから覗けるみたいな)

・出力先(成果物提出先)が揃えられている

 

この最後に挙げた「出力先が揃えられている」

 

これがものすっごくいい!!!!

 

小説を書き上げたあと、小説投稿サイト上にぺたぺたコピペして、レイアウトやら改行やらどれぐらい違うのかとかサイト毎に意識したりとか、そういうのなくしてくれている。

和製のテキストエディターに欲しい。なんなら作りたいまである

 

 

勿論、文字を書くならword、コードを書くならVScodeがいいです。クリスタは絵を描くソフトであってエディターじゃないですから。けど「初期機能からこれぐらい親身なエディターがある……だと……!」と想像の遥か上にあって滅茶苦茶驚きました。

 

クリスタのUIがすごいとかって話を聞いたことがないんですけど、実は有名なんですかね?もっと褒められるべきだと思いました!まる!

 

神田駅に貼られていた"強キャラ"広告(情報求ム!)

弱キャラ広告というものがあるのか気になった。
 
 
先日、神田駅から有楽町線に乗り換えたときのことだ。通路脇に貼られた一枚のポスターに目が行った。
波の押し寄せる浜辺に瓶が一本立っており、キャプションに「いくつもの波がきて、ここにたどりつく」と書いてある広告のポスターだった。
商品の名前は覚えてないが、波と泡をかけた広告なら発泡酒だろう。
 
さて、どうしていくつもある広告のなかでこのポスターにだけ目が行ったのか。
 
いろいろな理由がありそうだ。コンクリートの通路のなかで自然を求めた説、文字が少ないから読んでしまった説、体がアルコールを求めた説など。考えたが、目を引いたのはその圧倒的な強者感だということに気づいた。
 
・浜部に立っている酒瓶は一本だけ
・押し寄せる波に負けずに立っている
・「ここにたどりつく」という「果て」や「至高」といった要素を含ませた言葉
 
広告の出来や意図に目がいって肝心要の商品を忘れて製作者には大変申し訳ないが、それにしても、商品の強さを強く表現したポスターだった。
 
 
この広告を見たとき、ふと思った。
 
広告は商品の存在と強みを知ってもらうためにある。どんな広告も商品の強さを競う、まさに広告とはバトル系漫画。
ではバトル系漫画の盤面をひっくり返したような、そんな商品の存在と弱みを知らしめるための広告はあるのだろうか。
 
広告塔を弱キャラに置き換える、さしづめ"弱キャラ広告"
弱みだけを教える広告。酒瓶を逆手に持ち「社内では不評でした。あなたはどうっですか?」と美味しいニュアンスなんて欠片もないような広告。
もしそんなものがあれば、インフレを起こす異能力バトル漫画に登場するイマジンブレイカーではないか!
 
広告界に神の右手を持った上条さんはいるのだろうか。
 
いる。
 
そう――「不味い、もう一杯」の青汁だ。
 
 
(理論や根拠を書いても一発ネタに広がりなんてないのでここで筆を折る)
(ポスター現物の画像がなくてごめんなさい。どこのメーカーなのかほんとにわからなくて……。どこの会社様だったのか情報求みます!)

クボタのテレビCMがいい造りだったのでメモ【20/08版】

 

さいきん観たテレビCMの造りに「すごい!」とワクワクしたので、日記と備忘録です。

 

 

株式会社クボタ

「壁がある。だから、行く。支えられている 食」篇

 


「壁がある。だから、行く。支えられている 食」篇

 

まずは上記動画を見てください

 

――動画の説明 

公園でストレッチをする長澤まさみさん(以下、敬称略)

 「結局、自分にやれること、ひとつひとつやるしかない」

ベンチに座っておにぎりを食べる

「そんなあたりまえのことに、やっと気づけた日々だった。」  

 (農家の方々を映しながら画面キャプション)

(カメラが公園に戻る)

通りすがりの女子高生「こんにちは」

長澤まさみ「こんにちは」

女子高生がピースを向ける

キャッチコピー『壁がある。だから、行く。』

 

youtubeの公式動画だと30秒尺ですが、私がテレビで見たときは15秒尺でした。

15秒版は赤色の文字だけのCMになります(証拠映像が撮影できていないので記憶に頼ってます)

 

――15秒版の説明

公園でストレッチをする長澤まさみさん

 「結局、自分にやれること、ひとつひとつやるしかない」

ベンチに座っておにぎりを食べる

「そんなあたりまえのことに、やっと気づけた日々だった。」  

 (農家の方々を映しながら画面キャプション)

(カメラが公園に戻る)

通りすがりの女子高生「こんにちは」

長澤まさみ「こんにちは」

女子高生がピースを向ける

キャッチコピー『壁がある。だから、行く。』

 
――CMの意図

 

 この15秒CMをテレビで見たとき「え?」と思わされました。

 

15秒CMを物語帳にすると30秒CMの動画との違いがわかると思います。

 

30秒CMは平和な朝の一幕ですが、15秒CMは長澤まさみが女子高生に挨拶をしたら何も言わず立ち去られる」という物語に編集されているんです!

 

別に長澤まさみが無視されていることが面白いというわけじゃないですよ?もちろん。

 

これの編集のおもしろさって、そのときのキャッチコピーにあるんです

 最初にCMを見たとき、こう思うようになっているんです

 

挨拶する

無視される

「 (女性と女子高生に) 壁がある。だから、行く」

 

視聴者「え、そっち?」 

 

 

と、いってしまえば変哲のないキャッチコピーを意外性のある物語で興味を引こうとしています

 

会社のプロモーションであることを考えるならキャプションの意味合いは会社のポリシーやスローガンに当たり、抽象的にならざるをえません

 

それをCMのなかでは具体的なシチュエーションに落とし込んで使うことで、視聴者はそのキャッチコピーの物語を覚えてキャッチコピーをも付随して頭に残るような構造をしています

 

 

この造りのCMを始めて見て、朝、コーヒーを飲んでもぼーっとしてたのに、このCMの造りの秀逸さに目が覚めたのでメモメモ(やっぱ電通勤めは頭がいいんだなあと思った)

 

 

 

 

 

アニメ化したら1話目で1時間放送しそう『エイルン・ラストコード ~架空世界より戦場へ~』1巻感想


エイルン・ラストコード ~架空世界より戦場へ~』の1巻を読んだので好きなところを説明するだけのブログです

興味を持っていただけたら是非お手にとってくださいまし。


~あらすじ~


 人類はマリスと呼ばれる巨大生命体と存亡を賭けて戦争をしている。戦術や兵器の類が通用しなくなったマリスに対抗できるのは出自不明のロボットーー通称【ネイバー】ーーだけだった。とある襲撃時、人工島【第弐富士】におけるネイバーに搭乗可能な唯一の少女が脱出を試みるが……。
 時を同じくして、宇宙から飛来する所属不明の機体が現れる。人類のデータベースにないその機体に驚愕する【ヘキサ】たちに、更なる驚きがもたらされる。戦争中に他国へ侵入する常識知らずの搭乗者は自分をエイルンハザードと名乗ったのだ。その名は、この世界で放映されている”アニメキャラクター”の名前だった。

 

eirunlastcode.com

 

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エイルン・ラストコード ~架空世界より戦場へ~(上記サイトより)

 

ねっとりじっくりプロローグ

 

『エイルンラストコード』の好きなところを最初に話すと、気持ちや感情を”先に”出すところがいい。先に心情を吐露してから行動の描写に入るから、読者としても気持ちが入りやすい。
まあ、作品の雰囲気が絶望的に暗いからドロっとした粘り気のある暗さも心に抱えて読むことになるけどね! MF文庫としては珍しくシリアス部分が強いと思ったけど、よくよく考えなくてもリゼロとか異世界拷問姫とか出版してるレーベルでしたね

 


ところで、なろう小説の異世界モノにはテンプレートとも揶揄されるぐらい「トラックに引かれて女神に会ってチート武器もらって異世界転生する」という作品が多いです(かくいう私も似たようなの一作書いてます)

 

同じようなパターンで始まる作品が好まれる理由として「導入部分の共通化が挙げられます。
これのメリットとデメリットの話をすると、

 

メリット:学習コストの少なさ
 魔法の属性を説明されて「火・水・木・雷」ぐらいならわかりやすく「槌・炎・雲・霧」と言われると気構えをする人が多い。「ドラゴンがいる世界なんだー。エルフがいる世界なんだー。違うのはエルフも街で暮らしているところかー」とわかるところが多いほど、読者は親しみを持ちやすいとかなんとか。


デメリット:飽きがくる
 似たような始まり方ばかり見ていれば、次に読んだ小説の1ページ目から「またか」と思い手を止めることもある。実際、なろう小説のランキング似たようなの多くない?みたいな話が身内だと結構あったりするんですよね。それでも読むらしいんでなんのこっちゃいという感じですが。

 

 

とかく、説明や専門用語を省略してわかりやすいプロローグないし序章という入りやすい入口を組み上げるのがトレンド的になっています。


こんな話をしたからわかるでしょう?


こちら『エイルンラストコード』。読者を掴む序章の終わりまで紙面の半分を費やします。


じっくり、じ~~~~~っくり! と人類の敵・マリスに追い詰められて絶望の淵に立つヘキサと呼ばれる生贄扱いの一部の人類。有人戦闘機から戦車、それからネイバーと呼ばれる出自不明のロボットを駆使してマリスを倒して生きるヘキサたちの絶望感が描かれます。

 

少年少女(あと老婆)が視点主となり、葛藤、疑問、疑念、驚き、喜び。そのときの心情や考えがいつも直接的な文章。だからこそ、ドロドロとした気持ちが胸にこびりついて、読者を淡泊でいさせることを許さない(by絡められた経験者)


序章がしっかりしている構成の理由としては、サンライズ製作のアニメみたいに4クールぐらいの脚本のつもりで書いていそう。ガンダムの導入って1クールアニメに比べればやっぱりずっしり構えて作られていて、そういうロボットアニメの感覚を受けて執筆されたのかなと。

 

それがいい方向にでてる!!!

 

くどくなく、それでいてサッパリもし過ぎていない。
しっかり重たい世界観を読者に引きずり込むための土台があって、安心して読んでいられました。

 

それに展開も王道的で、もうね、前半だけで「うわー」とか痛ましいなあとか思うこと数多で、でも章半分で「おお!」と思わせるみたいな!(なんら具体的なことを書いていなくて申し訳ない。ネタバレを避けたい気持ちと読後の熱い気持ちが一体となってこうなっております)

 


ロボットが出てくるからSF的で、あんまし理解できないだろうなーとか思う人も問題ありません


一文一文を短く記述することによって、SF的ロボットの動作や戦場の描写が頭に描きやすい造りになっています!

短文が多いのに雰囲気出しながら描写できるの見習いたい。

 

 

というわけで。1巻の感想でした。
とりあえず2巻も読んでみます。

追記はないかも!

 


P.S. 追記1
【ヘキサ】斬新じゃ~んみたいなこと書いたんですけど、86がありましたね。あっちのほうが設定的にはグロかった
なんだかんだ、設定的にはそこまで重くないのかも? けど、そう思わせる、感じさせる書き方をしているというところが凄い。

『大学4年間の経営学が10時間で学べる』を読んだから感想を書く

青色姫草です

 

ひと月以内に本とは何も関係ないブログだけの記事を投稿します……ここで会社の愚痴を言っていないということがヒントです。気分うっきうき!

 

BookWalkerの読み放題にあったから手を出してみたシリーズです

 

『大学4年間の経営学が10時間で学べる』

 

経営学? 上の連中が考えてることだから現場の俺っちにはカンケーねえな……でも気になるからちょっと読んでみるか」

 

みたいな人(わたしのこと)が、経営学がそもそもどういう研究をして成り立っているのかを手っ取り早く理解できる本です。

 

www.kadokawa.co.jp

 

 

東大で経営学を教えてきた高橋教授が大切だと思われるトピックスを大きく3つの項目に分けて説明しています。

 

1.組織経営論

2.経営戦略論

3.技術経営論

 

……この目次からどんな内容が記述されているのか想像がつく人は経営学について知見があるかたでしょう。そういう方は、この本を読んでも新しい知見を得られる可能性は低いように思います。

逆に、まったく、なんのことだかハァ~さっぱりさっぱりという方にとっては経営学の最初の扉をひらく良書になるかと

 

 

経営学という専門分野を学ぶにあたって、一番の懸念点はその学習コストと考える人は多い(はず)です!

結論から言うと読むだけなら楽に頭に入ってきます! 学習コストは驚きのゼロです!

 

ただ、気になった言葉はメモをしておいたほうがいいなと思います。電子書籍ならラベルをつけておくとか。自分があとで気になったトピックスを調べることことがこの本の目的、だとわたしは勝手に考えております。

 

本書(自分が書いていない本を本書と呼ぶのはアリだよね?)は見開き1ページの小項目に分けられており、そのうち1ページはイラストです。文字部分は1ページしかなく、スマホで読むなら1スライドです。

内容は簡略かつユーモラスです。

語句は「用語」や「提唱者」などは太字で見やすく配慮されています。用語についても章を引っ張るものに関しては語句の説明を入れてくれますし、コラムや歴史的経緯や愚痴交じりの所感などもあり、退屈しない内容になっています。

 

とまあ、退屈せずに読めたわたしが言うんだから間違いありません

 

 

今日のブログではわたしが本書を読んで心に引っ掛かった点を挙げて一口ほど所感を書いています

 

本書自体が経営学の一部を要旨だけまとめたものであり、更にそこからわたしの気になった部分だけです。「お前の気になった部分はこれっぽっちか!」とどこかからお怒りの声が聞こえても気にしません。むしろ、雑に読んででも経営学のさわりを知るということができるのがこの本のいいところですので、是非に経営学について知るきっかけとして本書を読んでみてください

 

言い訳をしたところで~~~感想!

 

再定義

組織の業務をどう捉えているかが大事という話。

自分たちの会社を"ビールを販売する会社"と定義するか"飲料会社"と定義するかで、いざ地盤が揺らいだときに伸ばせる手数が違う。狭い視野でみていると見かけは違うけれど共通点の多い分野なんかに手を出せないこともある。

ドラマとかのキメのシーン「俺たちの仕事は~~することだろ!」みたいな台詞を思い出した。そういうシーンはよくあるから、こういう会社のできる/できないの定義で苦しんだ社会人は多いのかも

自分たちの業種を再定義できるような視野の広い人は望まれてるんだろうと思いましたまる



組織の合理的選択

どうして組織を作るのか、という話。

これ、個人的には読んでいて一番目から鱗な考え方だった。

個人には限定的な合理性(選択肢が限られているという意味合いで一般的に取られているけれど、元論文では違うという注釈あり)があり、だからこそ選択肢の幅を増やしたり情報量の不足を補うために組織を形成する、という考え。

わたしが誰かと集団を作ることを(仮想的に)考えるときはわたしに足りない何かを補うのが理由であることが多く、こういう専門性ではなく一般性の部分を足すための組織という考え方は意外でした。人事部とかこんな考えだから無暗矢鱈に人が多くなるんじゃないか役員とか決定権を持つ人が複数人いるのはこういう意味合いもあったのかなとか考えたり考えなかったり

 

 

海外との比較(気になったところ)

経営学者の世界的分布などは流石に掲載されていないが、読んでいる限り海外著者の方が多いのかなと感じた(歴史的に海外著者の論文が残った可能性もあるし、経営学者の調査育成より戦後の発展が優先された時代性もあるのかも?)

80年代からの日本企業的な風土は批判させたり肯定されたりしていたそう

 

 

マーケティングの4P

マーケティングの4P! マーケティングの4Pじゃないか!

なんでテンションが上がっているかというと、もう何年も前にこういう本がありましてね

 

『アイドルとマーケティングの4P』

mwbunko.com

 

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特に理由のない参考画像

 

なんだったら、わたしは経営学について上記のラノベに書かれていること以上は知らないと豪語できます! 本書を読んだうえでの経験則なので間違いないです

 

……今更ですけど感想が書きたい。SHIROBAKOについて「問題は現実、解決がファンタジーの部分がいい」と評される漫画家さんがいらして、その発言を聴いてからこの本の煮え切らない部分について理解できたようなそうでもないような。

さらに関係ないんですけど、この同時期くらいに読んだ『朝霧ちとせはへこたれない』という本は地下アイドルやってて滅茶苦茶好みでした。アイドルつながりで話を広げてしまいましたがどうか両方手に取っていただけると幸い。

 

 

はい。というわけで以上が感想となります。

別の話題など挟まっておりますが、それぐらい想起を呼び起こさせる良書だっということで。

 

たぶん追記なし!

 

 

 

 

『賭博師は祈らない』感想

 

『賭博師は祈らない』感想

 

https://dengekibunko.jp/product/tobakushi/321611000283.html

 

 

 

『賭博師は祈らない』の1巻を読みました

現実感溢れる物語と愛嬌あるキャラクターに惚れ惚れしたから感想書きです

(※ネタバレがある章はネタバレありと書いています)

 

ー賭博師

ピンチになったら主人公が賭けに出るのは珍しくはありませんが、主人公がギャンブラーという小説は珍しいんじゃないでしょうか。少なくとも、わたしの書棚にはそんな本はありません(こいついつもラストバトルでギャンブルしてんな、みたいなキャラはいますけど)

賭博師ってなんだよと思う方は、是非ともこの小説をご賞味くださいませ

 

 

ー現実味

舞台は18世紀ロンドン。みんな大好き、18世紀ロンドン!

登場人物は英国紳士……ではなく、賭博を生業とする賭博師たちです

 

意外な発想でした。

産業革命前後の仄暗い雰囲気、いいですよね。それが賭博という側面にまとまっていて、味のある空気感がありましてですね(語彙力を求めて中身が空っぽになったコメントの一例)

 

例えばロンドンの庶民の生活、例えばその時代には喫茶店やバーにも賭博場があるとか、ダークな雰囲気と対比する平和なビックベンの風景。メイド服の成り立ちや史実の女王の名前など、歴史的情報がささやかにかつ効果的に登場させることで18世紀ロンドンの世界観が描かれています

 

特に動物園。これがもうとびっきりにいい雰囲気だった!

 

 

ーヒーロー(※ネタバレあり)

賭博という一般的には善性とは言えない世界の中で、ラザルスはヒーローとなります

読者は読んでいてラザルスのことをさらっとヒーローだと認めてしまうんですけど、振り返るとすごい塩梅の上に成り立っているんですよ!

 

しかも、ダークヒーローじゃなくてヒーローなのがすごい

ダークヒーローと言えば『バッドマン』が有名です。ゴッサムシティという腐敗した街で、悪を成敗する人間がいないから私罪をおこなうダークヒーローのバッドマン。この構造は「悪側面が表となっている世界観」で発生した「問題」に対して「真っ当ではない方法」で「ヒーローになる」、というものです

 

『バッドマン』なら、「人々が不平不満を訴える」も「公権力はなにもできない」から「暴力による私罪で解決」して「人々にのみ認められる」。

公権力を期待できないから暴力で解決を図る(真っ当な解決方法ではない)ところが肝です

 

『賭博師は祈らない』であれば、「賭博が一般的な18世紀ロンドン」で「理不尽に奪われた奴隷」を「賭博」によって「取り返す」

賭博という方法を正攻法に仕立てあげてそのルールに則ってことを成す。

 

ダークな世界観でありながら、ダークヒーローではなくヒーローとしての活躍をする! これの成立が本当にうまくって、読んでる読者はぜったい応援する側に回ってる

 

 

ー総評

読んでて18世紀ロンドンの仄暗い雰囲気を賭博を通じて味わえた。料理だったらきっと甘美な味がすることでしょう!!

 

 

 

ごめんなさい。感想を書く間が開いてしまったので思い出せるかぎりで。

今回はこれで!

何か追記するかも