リナリアと葉書

青色姫草です。小説家になろう様で小説を投稿したりしています。ブログの主な用途は日記です

『アマリリス』の尊さに負けたお話

青色姫草です。

 

今週は調子が悪く、昨日に引き続いて漫画を買いました。なので今日も漫画の感想日記です。

また漫画かよって感じですか? わたしはそんな感じです。最近、小説の話してないけれど、このブログの作者は一応ワナビ……いえ、なんでもないです。はい、短編書き上げてから言います。

 

 

そんなこんなで帰りがけ、駅の本屋。

すごい身の上話になるのですが、東武東上線が通る朝霞台駅の本屋さん、すごい品ぞろえがいいんですよ。どんな漫画も置いてある! と言うほど大きくはないんですが、知らなかった面白本を発掘したけりゃあそこ行け、みたいな感じです。

あんまり話すと身バレするのでそれだけです。

 

漫画の棚をざっと眺めて、昨日のツタヤとは少し違うラインナップを目端に、平置きされている本を見つけました。表紙の絵やタイトルよりも最初に作者の名前が入ってきました。

 

福島鉄平

 

十年来のジャンプ読者ならば「あ、サムライうさぎの人だ」となるでしょう。私もそうなりました。

名前を見かけたのは西尾維新原作の漫画を七人の作家が書く、みたいな企画のとき以来だったかと。

 

サムライうさぎのイメージしかなく、そこで止まっていたので、短編を描いていらしたことや新作を描いていらっしゃることも帰ってから知りました。

とりあえずサムライうさぎの人だし、ということで三冊あった短編から一冊を手に取りました。

 

ynjn.jp

 

ここから本題。

買ってきた『アマリリス』の感想です。

 

『アマリリス』は表題作の『アマリリス』からなる五編の短編集です。いずれも別個の物語で、テーマも違います。

 

WJで連載していたサムライうさぎと比較するまでもなく青年以上がターゲット層だと感じました。設定や話作りもそうですが、ページのコマ運びなども、読者が考えながら読み進められるように設計されている点などなど。

テンポが悪いなんてことはなく、ページをめくる間と画から読み取る情報を思考するタイミングが気持ちよく、相性がよかったです(漫画の話です)。

 

書いてて思いましたが、アニメ監督だと岸誠二監督ぽい間の作り方でした。どこかに書いたかもしれませんが、思考と台詞の間が気持ちいいんです。結城友奈はそれが顕著でした。特にあの一話はすばらしいよなあ!(声が大きくなるオタク)

 

 

 

ここからは短編それぞれの感想です。

今回はネタバレがないようにするかもしれませんが、あるかもしれないので先に漫画を読んでくだしい。

それと短編の名前を全て書いてしまうので、検索妨害になってしまったら申し訳ないです。先に謝っておきます。

 

 

 

『アマリリス

女装という言葉にはトラウマ持ちなので少し流します。表題作であらすじにも女装って書いてあるのに買っちゃうのなんでなんですかね……。女装って言葉を現実で聞いたら露骨に嫌な顔するくせに女装モノの漫画とかエロゲはいけちゃう不思議!つり乙まだ買ってねえ!

 

最初の一コマ目と祈りの部分のページが好き。

あの一コマ目から中身が気にならない人いるの? って感じです。

祈りの部分は、上でも書いた間とかのことです。大体これ。

 

 

『イーサン飯店の兄弟は今日も仲良し』

これ読んだ瞬間、「これはブログに書こう」と思った。ひっさしぶりに「かっけ~~~!」って思った。思ったばかりの文章だと思いましたまる

 

もう一億人ぐらいが読んだろうという仮定でネタバレするけれど、あのズタボロの兄貴がかっこうよすぎる。

結局、このお話ってどんな話だったの?とかそんな些細なことはどうだっていいんだよ!ようは兄貴が弟のために怒るお話なんすよ!

 

福島さんはキャラクターの動作が止まっている時の方が印象的な絵をつくると思いました。ジャンプの読み切りとかアクションバトル系だと技名とバトルの決着シーンが華だけれど、それとは違った趣あるいい決着シーンでした。

 

 

『ハルよ来い』

最初は親子かと思ったけれど、途中から夫婦みたいになってた。どう受け止めればいいのかわからなかったのが本音です。

誤解されるとアレなので先に断ると、全く持って作者様のせいではなく、読んでいる側の失点です。

 

タマゴの孵化が妊娠のメタファーだとして。冬が関係性を表しているとして。

そこからさき、どういう風に物語を解釈すればいいのかがわからなくなってしまいました。

子供を産もうとする妊婦がストレス溜めるのはよくあることで、そのせいで夫とぶつかりあいになった。けれど子供が生まれて妊婦生活が終われば仲直り。……という、ことではないのでしょう。もうなんだか普通に本編を読むことすらできなくなってしまった。これが読解力を失ったチンパンジーの姿です。お笑いくださいませ。

 

 

【追記:06/07】

他者さんの感想に「気の立った妻と夫」と一言に要約されていた方がいました。全く持って同じ考えです。わたしはそこから何も感じませんでしたが、他者さまはご結婚なされているようで、あるあるに近い口調で文章を書かれていました。

……つまり、わたしにはそういう経験がないから、同調できないがため、面白くなかった。のかもしれない。

 

 

 

 

 

『ルチア・オンゾーネ、待つ』

ウキー! ウッキウキウキ、ウキキキキ。

ウキ? ウキ? ウキ? ウッッキーーーーー!

 

……はい。引っ込みがつかなくなったチンパンジーの真似を終えるまで、二行かかりました。

 

この話を読んでいるときに思っていたのが、福島さんの雲の描き方がサムライうさぎのイメージに引っ張られて江戸っぽく見える問題です。

ベッラの背景に月が見えるのですが、それに影を差す雲が、外国の雲っぽくないのです。だから空気にノレない、とかいうわけじゃなく、受け手が作る福島さんの世界観にはこういうところも含まれているんだろうな、とか邪推していただけです。

 

お話としては、ダークというかアマリリスより終始暗かったです。それだけに好みなのですが。ルチアがページを進めるごとに表情豊か(ひゆ)になっていくのが面白かったです。

 

個人的にはもっと濃厚な絡みのシーンを描いてくれてもよかったんやで嘘ですお願いします描いてください。やっぱ百合はいいよなあとか思っていました。この話はまた後で。

 

 

『私と小百合』

女装モノ。アマリリスのように運命に翻弄されて、ではなく、半ば自発的な女装です。

こちらも女装モノなのでやっぱり少し急ぎ足で。話自体は普通にじっくり読んでいるんですけどね。

 

誰に影響を与えることもなく、自分の意思が薄い主人公は、しばしば姉たちに女装させられていました。ひょんなことでその恰好を見られた相手が、威圧的な学友。

 

……この威圧的な学友に「お前女装なんかしてんのか」「これは、ちがっ」「へっ、ほんとうはお前、女なんじゃねえの。ほら、その裾めくってみろよ」「……//(そっぽを向きながら和服の裾を開く主人公」。よく見えないからと暗がりの部屋に押し込められた主人公は、学友に押し倒されて赤紅の強く塗られた唇を奪われ――――とかいう話ではないですね。

 

この威圧的な学友は上の妄想みたいに主人公の弱みを握っただなんて思わず、寧ろ見知らぬ女性だと勘違いして一目惚れしてしまうんです。

 

 

化粧したときがかわいくてやばば。何がやばいってこれで男。

 

 

 

 

『アマリリス』の感想はそんな感じです。

 

ほんとうは五編を通したとき、『異常性癖』から入り、『想い』が愛になり力になり断裂になり、序盤で感じた愛の意味合いが変化する。という感じの読書感想文を書きたかったのですが、まだ一周じゃそこまで読み解けませんでした。

どうせ何度も読み返す本になるでしょうから、そのうち追記、ということで。

 

 

何かあれば追記します。

青色姫草でした。

 

 

PS.

二日、三日前のブログ記事で「形而上の~」という文章を多用していましたが、あれはおうじゃくそん(一発変換できない。当たり前だけど)さんの二巻までしか出てない小説のネタを丸パクリしました。

たぶん該当記事にはその謝罪文と、さっさと三巻出して終わったニセコイ談義しろとの抗議文を載せていなかったはずなので、ここに書いておきます。はやく出して

 

 

PS2.

『ハルよ来い』に追記しました。